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上級心理カウンセラー  遠藤 久恵のカウンセリング・コーチング

成長を知る喜び

公開日:2019年07月12日 カテゴリー:ひとりごと, 教員の皆さんへ タグ:

子どもの成長を知る時

 

 

子どもの成長を喜ぶのは、親御さんだけではありません。

たとえ、自分の子どもではないとしても、関わりのある子どもが大きくなったことを知れば嬉しくなるものです。学校へ行くことを知れば、もうこんな年齢になるのだと驚いたりもするでしょう。

こうして子どもたちは成長を身をもって知らせることができるのです。

幼少期は、その成長が著しく感じられるものですが、中学生や高校生になるとなかなかその成長を大きく感じることも少なくなるものです。

しかし、間違いなく人として成長していることを様々なところで知ると、さらに喜びが湧いてくるもの。

 

教え子から知る

 

 

先日、20年も前の教え子に会いました。その場は、彼らの担任だった先生のご葬儀でした。

彼らは、声を殺しながら泣くのです・・・。声をあげて泣く子もいました。子といってもすでに卒業してから20年も過ぎているのですから、いい大人ですが・・・。

実は、当時彼らは本当にヤンチャでいつも困った存在として学校では見られていたのです。
中学校でも勉強よりも遊びが好きな子、出来の悪い子、悪戯ばかりする子・・・などとレッテルを貼られ高校へ。

しかし、彼らの気持ちとしては高校では自分は変わりたい!と思って入学してくるに違いないのです。

とはいえ、実際はなかなか変わらないもの。仲間と一緒に遊ぶことが優先になり、勉強は疎かになってきます。悪戯を何度も繰り返します。

そんな彼らに担任は正面から向かい合い、体をはって彼らを受け止めていました。本気になってケンカもしました。人に認められないようなことをしそうになった時には、何時間もかけて話しあいました。

いつも真剣でした。

そんな先生の存在は、当時の彼らにとってはウルサイものだったことでしょう。逃げることに必死だったかもしれません。

今思えば、彼らはその時までそのような人に出会ったことがなかったのでしょう。
いつも彼らを蔑ろにする大人が多かったのかもしれません。

だから、その先生からは本気では逃げなかったのです。自分たちの方を向いてしっかり関わってくれる人の存在を徐々に心の中に感じ始めていたのです。

その中の一人は一学年上だったのですが、留年が決まると退学すると言い出しました。
担任は、自分のクラスで引き受けるからと何時間も彼を説得して退学を思いとどまらせました。下の学年の生徒と上手くやっていかれるのか・・・心配はありましたが、これも関係づくりの上手い担任のお蔭ですんなりと馴染んでいきました。

卒業が決まった時の嬉しそうな顔は忘れられません。
あそこで退学していたら、高校卒業の資格も失っていたのですから・・・。

ヤンチャな生徒たちが卒業する時は、寂しさを覚えたものです。彼らと一緒にすごした時間が、まだ若かった私にも楽しく有意義な時だったからです。

人を知りました。様々な境遇で生活している人、挫けそうになりそれでも自分を最後まで見失わずに進んでいた人たち。
高校生だからではなく、人として素晴らしいと感じ、関わることを嬉しく思いました。

彼らが自分の手でつかみ取った卒業を、担任はそっと見守っていました。
彼らが成長した証を先生としてだけではなく、一人の人としての大きな喜びと感じていたのでしょう。

 

真剣に関わることの大切さ

 

 

お通夜の日に最後まで斎場に残っていた彼ら数名。どうしたのかと聞くと、先生に会いたい!と言うのです。
ご家族に伝え、会わせていただきました。

それまで思い出話で盛り上がっていた彼らですが、棺に納められた恩師を見た途端・・・
誰もが言葉を失い、でも同じことを思っているのだとわかります。

涙を流しながらも感謝の気持ちをそっと伝える彼ら。
「先生がいなかったら、自分たちは今こうしてここにはいません。あの時のこと忘れません!」「高校時代は楽しかったです」などと自分の思いを先生に伝えているのです。

あのやんちゃでどうしようもなかった彼らが、人として成長し人の親となり、ここにいる。
そして自分の気持ちを素直に話すことができる・・・。

それを思っただけでも、高校で彼らと必死に向い合った担任は報われると感じました。
あの関わりは無駄ではなかったのだ!彼らを信じ、先を読んでのことだったのだ!そう強く思いました。

 

教育者として子どもたちと向い合う時、彼らの将来は何もわからない状態です。
ただ、今をしっかり生きてほしいと思うばかりなのです。今ある関わりが正しいとか、正しくないとかは誰にもわからないし、見えないこと。

こうして時を過ぎ再会した時に彼らの成長を知り、ただただ嬉しく思うのみ。

人は黙っていても成長していきます。
しかし、そこに少しでも人として関わりをもつことで、考え方や生き方に影響を及ぼすことがあります。
だから真剣でなくてはならないのです。
正面から向かいあうことです。

必ず伝わるものです。そう信じて向かい合うことなのです。

人は素敵です!
無限の可能性を秘めています。

高校生では見えなかった彼らの未来。それを担任は今、笑顔で見ていることでしょう。

そして、「よく成長したな!信じていた、嬉しいよ!!」そう言う声が聞こえます。

親でなくても人生の一時を共に関われた喜びは、人の成長を感じた時さらに大きくなるのです。

先生の仕事を私はその担任から教えていただきました。
人を大切にすること、信じること、決してあきらめないこと、彼らの未来に希望をもつこと・・・

彼らに会い、私も彼らの成長をとても嬉しく思いました。教員で良かった。
彼らは、私にも優しかったのです・・・

 

 

 

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